- 01公式ルールを確認
- 02売りの規模を把握
- 03企業価値を検討
「指数から外れる」だけでは、
買い・売りは決められません。
最初に、この記事の答え
売り需要は生まれうる。
でも、下落率までは決まらない。
TOPIXの構成比率が下がると、指数に連動する運用では保有調整が必要になります。ただし、実際の株価には買い需要、事前の織り込み、決算や市場全体の動きも影響します。
- 対象銘柄は公式発表で確認。「時価総額が小さいから除外」とは決めつけない。
- 売り株数と日々の出来高を比べる。比率は需給の規模を考える材料にする。
- 企業価値と許容損失を先に書く。短期の反発がなくても説明できる判断を目指す。
本記事は制度の解説と学習用の試算です。具体的な銘柄の売買を勧めるものではありません。
「指数の売りで下がるなら、割安株を買う機会になるのでは?」。資産バリュー株を調べていると、気になる問いです。そこで、公式に決まっていること・試算の前提・投資判断を分けて整理します。
この記事でわかること
01 / まず、制度を理解する
「400億円」が一律の
合格ラインではありません
第2段階の見直しでは、東証のプライム・スタンダード・グロース市場を対象に、流動性を踏まえて構成銘柄を選びます。確認するのは、年間売買代金回転率と、浮動株時価総額の累積比率です。[1]
| 確認項目 | 新規追加 | 既存銘柄の継続 |
|---|---|---|
| 年間売買代金回転率 | 0.20以上 | 0.14以上 |
| 浮動株時価総額の累積比率 | 上位96%以内 | 上位97%以内 |
両方の条件を満たす必要があります。回転率は金額ベースの指標で、後述する「売り株数÷出来高」とは別のものです。詳細はJPX算出要領5〜6ページ。[2]
浮動株時価総額とは?
市場で流通する可能性のある株式を考慮した時価総額です。JPXは所定の方法で浮動株比率を算定します。個人が大株主一覧から固定株を差し引いただけの数値と、公式値が一致するとは限りません。[3]
「いまの株価」と「別の時点の株式数・浮動株比率」を混ぜると、比較の条件が変わります。データの基準日と定義をそろえ、最終的にはJPXの選定結果で確認しましょう。
02 / 日付を取り違えない
2026年10月から、
8段階の移行が始まります
初回の定期入替で継続選定されない銘柄には、移行措置があります。次の図は低減が途中で停止しない場合の移行係数です。株価の予測や、実際の売却数量を示す図ではありません。[1][2]
上記の日付は、算出要領の営業日ルールとJPXカレンダーから換算しています。個別発表・変更の有無は公開資料を確認してください。[2][4]
03 / 前提を変えて、確かめる
売り需要は、
普段の出来高の何日分?
同じ12万5,000株でも、普段5万株しか売買されない銘柄と、50万株売買される銘柄では、需給の規模の見え方が変わります。ここでは、移行係数の変化だけを反映した簡易モデルで比較します。
初期値は架空の例です。実在銘柄の推計値ではありません。
計算機が動かない場合は、下の数式と計算例をご利用ください。
数式・計算例・このモデルの限界
売り株数の概算 = 係数1.000時の推定保有株数 ×(変更前の係数 − 変更後の係数)
初期例は100万株 ×(1.000 − 0.875)= 12万5,000株。これを1日平均出来高5万株で割ると2.50倍、仮の株価2,000円を掛けると2億5,000万円です。
このモデルは、資金流出入・株価・株式数・他銘柄の変更・指数全体の再計算を固定し、先物やサンプリング運用なども考慮しません。実際の売買数量の予測値や上限値ではありません。前提の保有株数に根拠がなければ、結果にも根拠はありません。
入力①に、低減後の保有株数をそのまま入れると基準がずれます。各段階で「その時の残高の12.5%」を売る計算とも異なります。たとえば第2回は係数差0.125で、直前の係数0.875に対しては約14.29%の減少です。
倍率が大きかったら、何を見る?
出来高の中身
1日の合計だけでなく、大引けの出来高や平常時の板も確認。集計期間に決算などの特殊日が入っていないかを見ます。
先回りと買い需要
すでに下落しているか、売りに応じる買いがあるかを観察。売りの試算だけでは需給の片側しか見えません。
企業側の変化
決算・見通し・資本政策の変化を確認。業績悪化が重なれば、指数イベント後も下落する場合があります。
04 / 注文の仕組みを知る
15:25の気配と、
15:30の約定は別です
東証の現物取引では、プレ・クロージング中に注文を受け付け、大引けで板寄せを行います。表示された気配は、注文の追加・変更・取消で変わります。画面上の途中の価格が、そのまま終値になるとは限りません。[5]
発注するなら、気配に合わせて予算を増やす前に、自分の評価額・購入上限・想定外に下がった時の対応を決めておきます。「指数の売りが終われば戻る」と決めつけると、企業の変化を見落としやすくなります。
05 / 個別企業に戻る
3社を調べるなら、
同じものさしを使う
品川リフラ・パラカ・東京製綱を検討する場合も、先に公式の対象確認が必要です。ここに掲載することは、TOPIXの低減対象であることを意味しません。出典・日付のそろっていない株価や利回りを並べて、順位づけしないことが大切です。
「売られるか」と「割安か」を、分けて記録する
| 見る項目 | 確認すること |
|---|---|
| 指数の対象確認 | JPXの選定結果・係数・適用日。推測と確定情報を分ける。 |
| 需給の前提 | 保有株数の推定根拠、出来高の市場・期間・分割調整。 |
| 資産価値 | 現預金・有利子負債・不動産・政策保有株。帳簿価額と処分可能額を同一視しない。 |
| 稼ぐ力・還元 | 一時損益を除いた利益、投資負担、配当の継続性、自社株買いの実施状況。 |
| 投資の条件 | 評価額の根拠、購入上限、見直す条件。短期反発がなくても保有理由が残るか。 |
たとえば低PBRでも、資産の換金性や事業の収益力に課題があれば、割安に見える理由が残ります。反対に、企業価値の見積もりが十分に検証できていれば、需給の変化を購入条件の検討材料にできます。
06 / 調べたことを、判断に残す
発注する前に、
6つの確認と1枚のメモ
チェックの数は投資の安全性を示す点数ではありません。まだ説明できない項目を見つけるために使います。
入力内容は外部に送信しません。自動保存はされないため、画面を閉じる前に保存・コピーしてください。
07 / よくある疑問
気になる点を、もう一度
TOPIXから外れる銘柄は、必ず下がりますか?
断定できません。売り需要が予想されても、事前の値動き、買い需要、決算、市場全体の動きで結果は変わります。売り株数の概算と株価予測を分けて扱います。
計算結果が5倍なら、5%下がるということ?
違います。平均的な1日の出来高の5日分に相当する株数という意味です。出来高比率から下落率へ直接変換することはできません。また、1日全体の出来高と大引けの約定可能量も異なります。
公式発表前に、対象銘柄を断定できますか?
個人の試算は候補を考える材料にはなりますが、JPXの決定ではありません。推定に使ったデータと日付を示し、公表後に公式の結果と照合する必要があります。
低減の第5回以降も必ず続きますか?
再評価で継続基準を満たす銘柄には、係数0.500で低減を止める仕組みがあります。計算機の第5〜8回は、低減が継続する仮定でのみ使ってください。[2]
出典と確認日
制度の記述は以下の一次資料を参照しました。確認日:2026年10月5日。計算機の初期値は学習用の仮定です。制度変更や個別通知は、リンク先の最新情報で確認してください。
- JPX|TOPIX 第2段階の見直し ↗対象市場・流動性基準の考え方・移行措置。
- JPX総研|東証指数算出要領(TOPIX編・PDF)↗2026年10月1日版、5〜6ページを中心に参照。定期入替・基準・係数。
- JPX総研|浮動株比率の算定方法(PDF)↗2026年10月30日適用版。浮動株比率の定義と算定。
- JPX|営業時間・休業日一覧 ↗2026年の営業日の確認。本文の10月7日・30日は営業日ルールから換算。
- JPX|売買成立の方法 ↗指値、価格優先、クロージング・オークション。
記載銘柄は調査方法の例示です。数値を使う際は、参照時点と算定条件をご自身でも確認してください。
